ここに、1人の「若はげ」がいる。
見た目は かよわい子羊であるが、
パソコン等の物に対しては怒鳴り散らす。
とりわけ、ネットなどの仮想空間では
荒ぶる鬼神である。
リアル世界では悲惨である。
「若はげ」に
なりたくてなったわけではないのに、
365日いつなんどきもディスられ、
甚大なストレスを抱える。
「若はげ」というだけで
カースト最下層という立場に
甘んじていたが、やがて、大人になると、
特殊アビリティ「やつ当たり」を覚える。
その八つ当たりは、悪質クレーマーとして
立場の弱いコンビニ店員に向けられる。
ネット上では、八面六臂の大活躍で
各スレッド(掲示板)で猛威を振るうものの、
リアル世界では、対人関係の都合により、
出張先は、ドラッグストアや
コンビニ等に限定される。
なお、コンビニでは
同級生に遭遇する可能性があるため、
親のスーツを巧みに着こなし、
バリバリの会社員(正社員)である事を
演出する。
日々のストレスからの八つ当たりは、
すべてコンビニ店員に向けられる。
コンビニ店員は、立場上、
客に歯向かってこれないからである。
コンビニ店員からしてみれば、
大迷惑であるが、
社会人である以上、こんな意地の悪いヤツでも
丁寧な接客を心がけなくてはならない。
本日、この悪質クレーマーと対峙するのは、
コンビニを知り尽くしたベテラン店員である。
このようなベテランの店員は
365日、8時間程度、
不特定多数の人間模様を観察しているため、
人間(客)に対する洞察力が
極めて秀逸である。
新規の客であっても、見た目や動きだけで
その人の属性が全て把握できるというのだ。
これは、もはや心眼の域に達し、
言い換えると、
アルティメットアイ
(究極の眼)と言えよう。
客が入口の自動ドアを通過した瞬間、
ベテラン店員は
アルティメットアイを照射する。
アルティメットアイ発動後、
約10秒程度で、そいつの属性を
分析・推理する。
アルティメットアイは、あくまでも、
過去の経験則から導き出した予想であるが、
ベテラン店員の場合、その的中率は
85%以上を誇る。
さらにアルティメットアイを照射し続けると
なんと、そいつの人間性をも
正確に見破ることができる。
このような悪質クレーマーっぽいヤツが
来店した場合、ベテラン店員は
小さな声で、他の店員に注意を促す。
特に、新人がいるシフトの場合は
最大限の防御網を敷く。
あの「若はげ」には気をつけろ !
ただし、見た目の特徴をそのまま声に出すと
クレーマーに気づかれてしまうため、
通常は隠語を使って表現する。
アイツ、キュベレイに似てるから
キュベレイって呼ぶぞ !
ベテランのコンビニ店員は、
一度マークを開始すると、その客の滞在中は、
徹底的にマークする。(スネークマーク)
つまり、いつまでも
アルティメットアイを照射し続ける。
会計の前に 悪質クレーマーの
人間性データをたくさん収集しておくと、
レジ会計での直接対決の際、
試合を有利に進めることができる。
分析が進むと、そいつの
買うものまでが予測できるようになる。
ああいう頭のヤツは、得てして、
サラダと栄養ドリンクを買うぞ !
なお、こういうヤツって、往々にして、
自分が買う商品を買い物カゴに
きっちりと綺麗に入れてくる。
レジ会計の時点では、
すでに客の分析が完了しており、
この客 コンビニでは態度でけえけど、
1歩外に出ればペーペーだぞ と、
客の戦闘力を割り出している。
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レジでの直接対決
レジ会計にあたり、店員が
商品のスキャンを開始するが、
わずか2秒後、早速クレームが入る。
斜めに持ったら中身が寄るだろうが !?
神経質キタ━(゚∀゚)━!
そりゃ、ロボットじゃなくて
人間が持っているんだから、どうしても
1cmくらいは 横に傾くだろうよ。
第三者の公平な目で見ると、
店員の接客態度は丁寧で
弁当もを持つ手つきも水平に見えるが、
神経質な客に言わせると、
わずか1cmの傾きですら
万死に値するようである。
大概の店員は大人であるため、
このような精神の未熟な者に対しても
神対応を展開し、自分が悪くなくても
「すいません」と接客用語を発する。
しかしながら、悪質クレーマーの場合は
逆効果になる事が多く、
「すいません」とう言葉を聞くと
調子に乗って、より傲慢になる。
壮絶な勘違いが始まり、まるで
コンビニ店員は俺の部下と言わんばかりに
見下した態度をとり始める。
こいつ1人が勝手に思っていることを、
あたかも世間が思っているかのごとく、
尾ヒレをつけて大ボラを吹くのは
神経質なクレーマーの共通点である。
普段は大人である店員も、
あまりにも戯言(ざれごと)が過ぎると
さすがに気を悪くし、
さりげなく報復を開始する。
1cmの傾きですら監視されているため、
分度器で水平を保ち、
流水のごとく動きで、
スキャンした弁当を
買い物カゴからカウンターへ移動させる。
そして、決まり文句の
お弁当 温めますか?
一般的には、「はい」「いいえ」だけで
終わる問答であるが、
神経質な客の場合、この
「お弁当あたためますか?」というセリフも
いちいち癇(かん)に障るようである。
冷たいまま食べろっていうのかよ!!
黙って、温めろ! コラ!!
逐一、店員の言葉尻を捉えて、
随所にイヤミを織り交ぜてくるあたり、
常習的なクレーマーである。
なお、こういう神経質なクレーマーが
レジでコンビニ店員に絡んでいると、
レジでの滞在時間が長くなり、
後続に次の客が並んでくる。
次に並んでいるのが、
ヤンキーや土方(どかた)の場合、
店員には一切絡まず、
速やかに会計を済ませ、
逃げるように退店する。
もしも、ヤンキーや土方がいるときに
コンビニ店員に絡んでいると、
彼らに、強制排除されるからである。
「若はげ」は 学生時代から
こういうヤンキーに
やられる経験が非常に多いため、
ひごろからキョロキョロして
ヤンキーがいないか、周囲を気にしている。
今日は、後ろに並んでいる客はいないため、
ヤンキーの援護射撃はない。
あくまでも、このベテラン店員が
この「若はげ」の相手をし続ける。
新人スタッフは絶対に1人にはさせず、
自分の補佐につける。
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社会人経験が著しく少ない未熟な者は、
相手の気持ちを考える事ができないため、
レジでの追加注文の際、1度にまとめて
全てを注文してくる傾向がある。
もちろん、店員が1度で全て聞き取らないと、
烈火のごとく怒り狂う。
なお、余談ではあるが、
「若はげ」になるようなヤツは
揚げ物が大好物であり、
レジの横のショーウインドに展示されている、
コロッケやからあげ等の
ホットスナックは
必ず複数個購入する。
そして、店員が
注文されたホットスナックを取り出す仕草は
「若はげ」に厳重に監視され、
しっかりとレジ袋に入れるまで
一部始終ガン見される。
このガン見の意味は、
ホットスナックは特に大好物のため、
入れ忘れ されたくないことに起因する。
店員がレジ袋に商品を入れる手つきの
一挙手一投足を 全て審査される。
もちろん金は投げる
自分で、好物を大量に買ったくせに
金額にイチャモンをつける。
そして、最後のアラ探しは
デザート用のスプーンである。
仮にスプーンが入っていなくとも、
家に帰れば本物のスプーンがあり
とりたてて困らないのだが、
店員がスプーンを入れたか入れないかは、
しっかりと疑う。
自信満々で店員を疑ったあと、
実は店員の方が
正しかったと気づく「若はげ」。
これは恥ずかしい。
店員の方が正しかった場合、
自分の恥を隠蔽するために、
逆ギレの舌打ちをしながら、
赤っ恥の報復行為として、
再びアラを探す。
アラが無いから、自ら作り出す。
普段なら見向きもしないレシートに着目し、
レシートをもらってない事に対し、
怒鳴りつける。
こういうヤツの資金源は
基本的に親の金(おこづかい)のため、
レシートには全く興味がなく、
普段は絶対に受け取らない。
しかし、今日はとにかく怒鳴りたいから、
不必要なはずのレシートを
よこせと恫喝する。
見事な逆ギレである。
ここで一旦、店を後にする。
家に帰っても怒りが収まらない
神経質なクレーマーには
粘着質な者が非常に多く、
家に帰っても怒りは収まらず、
今度は電話でクレームを入れてくる。
弁当をあたためれば、当然、
同じトレー内の野菜も温まるのだが、
神経質なクレーマーの場合、
それが許せない。なお、
お弁当を温めろと言ったのは
「若はげ」本人である。
社会人である店員でも、いい加減、
悪質なクレームの連発には
うんざりしてくる。
なお、クレーマーからの電話の際、
そいつの電話番号は
ナンバーディスプレイにしっかりと
表示されている。
店員に、勝手に名前を登録され、
この番号は出るなと号令が出される。
また、横の関係が密な地域では、
コンビニ間でこの電話番号が共有され、
めでたく町内のブラックリスト入りを果たす。
つまり、この「若はげ」が電話しても、
町のコンビニすべてが応答をしない。
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このように、コンビニ店員の前では
気が大きくなり、
傲慢な態度を取っている「若はげ」だが、
店員が勤務外の時に外で会った場合、
とんでもない事になる。
この時、「若はげ」の方は、
目を逸らし、気がつかないフリをして
逃げようとする。
しかし、店員の方は、ここぞとばかりに
声をかける。
形勢逆転ww
店員は、今日は非番のため、
丁寧な対応をしなくてもよい。
店員 VS 客 の構図ではなく、
男 VS 男 のタイマン勝負となるが、
ケンカもしたことの無い「若はげ」では、
謝る事しかできない。(ぶざま)
この時、教育的指導を受ける。
コンビニやインターネットの世界では
調子こいているが、
現実の世界ではみじめである。
因果応報